わんぱくクラブ駒沢職員_Hさん


平井 有悟(ひらい ゆうご)
わんぱくクラブ駒沢 (児童指導員、放課後児童支援員)
インタビュー日:2024年8月

1 仕事内容は?

わんぱくクラブ駒沢で、小学生から高校生のお子さんの放課後の余暇支援(放課後等デイサービスの児童指導員)をしています。「放課後等デイサービス」というと、「療育」的な関わりが多いイメージがありますが、わんぱくでは「遊び」を中心とした「保育」を行っています。
子どもたちが学校から帰って来ると、「おかえり」と迎え入れます。夏は水遊びをしたり、冬は落ち葉遊びをしたりと、駒沢施設の園庭を活かしてダイナミックに遊びます。遊びを通じて、小学生から高校生まで最大12歳差の異年齢集団の中で、お互いに関わりながら「仲間をつくる」ことも支援しています。子どもたちが帰ってくるまでは、保育準備をしたり、法人内の事務業務を行ったりしています。法人内の業務としては、現在は当法人発行の季刊誌「わんぱくプレス」の委員となり、「わんぱくプレス」の制作に携わっています。
 

2 わんぱくに入職を決めた理由は?

もともとは大学院生の時には教育学を専攻していて、特に「生活の中で学ぶ」ということに興味を持っていました。そのため、修了後は学校内に設置してある学童で支援員をしていましたが、そこで発達障がいのあるお子さんと仲良くなりました。その学童は、子ども90人以上に対して大人が数人程度だったこともあり、「もっと子ども一人ひとりに向き合いたい」と感じて、放課後等デイサービスで働くことを決めました。
その後は、わんぱくとは別の放課後等デイサービスで働いていましたが、「療育」の大切さも感じた一方で、学生時代の「遊び」や「生活」を軸にした学びを改めて突き詰めたいと感じ、「保育」を大切にするわんぱくに入職することを決めました。
 

3 パパ育休を取得してみて

2023年の3月に娘が生まれ、そこから産後パパ育休や育児休業を合わせて1年間のお休みをいただきました。最初は、そこまでの長期を予定していなかったのですが、家庭の状況や私の意思を尊重してくださり、最終的には1年間お休みしました。
正直なところ、1年間、育児休業を取得することに申し訳無さがありました。常に人員不足が言われるこの業界で、わんぱくは基準以上の人員配置をしているとはいえ、業務で負担をかけてしまうことは明白でした。そして、実際に多大な負担をかけたと思います。しかし、そのような状況の中で、他施設のスタッフがヘルプに入ってくれたり、追加の人員の募集をかけてくれたりと、法人全体で盤石な体制が取れるようにしてくれました。
また、男性が1年間の育休を取得するということ自体が珍しい中、子どもたちだけでなく保護者の方をも不安な気持ちにさせてしまったと思います。しかし、多くの子どもたち、保護者から応援していただき、保護者と職員が共に運営する法人だからこその温かさを、より一層感じました。

4 復帰後について

娘が3月に生まれたため、ちょうど年度の切り替えである2024年4月に復帰をしました。子どもたちをはじめ、スタッフや保護者の方々から、とても温かく迎え入れてもらいました。
ただ、一点、キツかったのは体力面でした(笑)。わんぱくは「遊び」に主眼をおいているため、日々の子どもたちとの遊びは非常にハードです。追いかけっこで走り回ったり、戦いごっこでマットにダイブしたりしていると、翌日には筋肉痛がやってきました。如何せん、遊んでいる時はこちらも本気で楽しんでいるため、その時は実感がないのですが、1年間でなまりきった体には堪えました。しかし、それもほんの数週間。それ以降は以前のように遊ぶことができました。
また、その他の事務作業については、少しずつ私のペースに合わせて振り分けてくださり、負担がかかりすぎないよう配慮してもらうことで、復帰後は子どもたちと全力で関わることができました。スタッフ間では、常日頃から「保育優先」という考えを共有していて、その点についてもサポートしてもらえたと感じています。
 

5 わんぱくで働いてみて感じる魅力

あまりこう言うと、「言わされているんじゃないか」と思われるかもしれませんが…(笑)。本当に「わんぱくで働いてよかった」と思えるぐらいの魅力を感じています。業務内容として権利擁護に携わることができるということもそうですし、育児休業を1年間いただくために全体でサポートしてもらったこともそうです。しかし、一番の魅力は、その根底にある「一人ひとりを大切にする」という考え方だと思っています。
わんぱくの事業のすべてが、権利擁護を主体とした事業であり、業務を通して「一人ひとりを大切にする」ことを目指しています。一口に「一人ひとりを大切にする」といっても、そう簡単ではありません。そのために、適宜研修の機会が設けられ、毎日「終礼」を行い子どもたちの情報を共有しています。そこでは、アルバイトスタッフを含めた全体が「一人ひとりを大切にする」ということを前提に、「どういう支援がさらなる自己実現へと繋がるのか」ということを話し合っています。それらを共有できる仲間たちとともに働けていることも魅力です。
そして、労働者として、「大切にされている」と感じることはそう多くないと思っていたのですが、わんぱくで働くようになってからは実感することが多くあります。フレックスタイム制を用いて家族を大切にする働き方ができたり、他施設の施設長との面談の機会を年数回設けていたり、一労働者として法人運営にも一部参画ができたりと、どれも働く人も大切にした施策だと思います。
利用者も保護者もスタッフも含めて、一人ひとりを大切にできる環境が一番の魅力です。